京都は西、上桂へ。鈴虫寺から小川沿いにほど近い所に「カフェアンダンテ」という外国絵本のような喫茶店があり、店内にはバーンスタイン銘が刻まれたアップライトピアノが置いてある。響きがなんとも美しく、世界の名だたるメーカーにも引けをとらない。外観も格調高く品格が漂っている。これほどのピアノは、きっと情熱ある人によって造られたに違いない。現存されているなら是非ともお会いしたいという衝動にかられた。
それから10年ほどが経過し、尼崎塚口の松田楽器さんで偶然、バーンスタイン銘のアップライトピアノをみつけた。驚いて、店内の方に「京都で弾いたこのピアノすごくいい音でしたよ」というと、奥から杖をついた品の良い年配の社長さんが出てこられ「このピアノは私が手がけて造らせました。永久保証書までお付けしている自信作です」と熱く語られました。そこで私も「このピアノ造りに携わった方に是非お会いしたいと長年思い続けていたんです」と応えました。想像通りの、素晴らしい御仁であり、嬉しい感動の一日となりました。
【著者プロフィール】
大宅信三(おおたく・しんぞう)
ピアニスト、作曲、編曲、指揮、指導。
一音一音の音色と間と流れを重視した奏法にこだわり、ギャラリー「アートデアートビュー」より、自ら作曲、演奏したピアノ独奏曲のCDも発売している。高槻市在住。 |
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